ぷろぐらむ・ぷろぶれむ・ぷらいむ

1限目 「プログラム」ってなに?


始まりはおやつから @ 初の部屋

伸:(ガチャ)はじめ兄ちゃん、おやつ持って来たよー。
初:お、そうか。サンキュー、すすむ。(首を回すとゴキッ、ベキッという音)
伸:(ヒョイと覗いて)あれ?昨日のゲームじゃないの?
初:ああ、あの続きを作ってたんだ。ちょっとしつこいバグがあってな…
伸:えぇっ!あれって兄ちゃんが作ってるの?!どうやって?
初:絵とか音は涼(すず)がやってくれたから、俺はプログラムを書いてるだけだな。
す:ゲーム作るなんて、兄ちゃんスゴいなー。でもその「プログラム」って何?
初:あー…スマン、今忙しいから涼に教えてもらえ。俺より説明が上手だしな。
す:うん、わかった。ゲームできたら教えてね。やってみたいから。
初:ああ、もう少しだから楽しみにしてろよ。(画面に向き直って)さて、コイツじゃないとすると…
す:じゃあ、涼お姉ちゃんちに行ってくるね。(ガチャ)あ、お母さんが「食べたら台所に片付けるように」だって。
初:(生返事で)あぁ、うん、わかった… ん?ひょっとしてコレか…?
す:がんばってねー。(バタン)(タッタッタッ)(遠くから)お母さーん、お隣に行ってくるねー。

双子のお留守番 @ 天乃家の玄関

す:(ピンポーン)
?:はーい?
す:こんにちわー、涼お姉ちゃんいますかー?
?:すー君?ちょっと待ってね。
憩:(ガチャ)いらっしゃーい。あがってあがって。
す:あ、かげちゃんありがとう。お邪魔しまーす。
温:(奥のドアから)すすむ、こっち。
す:ひなちゃん、こんにちわ。
こ:(一緒に部屋に入りながら)お姉ちゃん、今出かけてるのよ。
ひ:そう、みんな居ない。
す:えー、そうなの?聞きたい事があったのになー。
ひ:まあ、座るといい。
こ:(キッチンから)今日は何飲むー?
す:んーと、おじさんの。
ひ:また父のか。すすむは最近、付き合いが悪い。
す:うー、ひなちゃんのは苦手なんだもん。
ひ:何を言う。健康にいい豆乳、かつ味がいちごミルクという最強の組み合わせじゃないか。
こ:まあまあ、次はひなたに付き合ってくれるよ。ね?(コップを置いて)はいカフェオレ。
す:…う、うん、次ね。
ひ:こかげの「野菜ジュース(無塩)」より256倍は美味しいと思うのに。
こ:あら、私はひなたのも好きよ?(にっこり)
ひ:(目をそらして)う、…それで、すすむは涼姉ぇに何を聞きに来たの?

姉の居ぬ間に @ 天乃家ダイニング

す:兄ちゃんがゲーム作ってる「プログラム」って何なのか聞きたくて。
こ:あら?初兄さんは?
す:忙しいんだって。それにお姉ちゃんの方が分かりやすいって言ってた。
ひ:確かに初兄ぃは専門的な話になりやすい。それはそうと、プログラムなら私達も分かる。
こ:お姉ちゃんほどじゃないけど、お母さんに教えてもらってるの。
す:えー、じゃあ知らないのって僕だけなの…(ガーン)
ひ:大丈夫、すすむもすぐに分かる。
こ:そうそう。私達が教えてあげる。
す:ホント?ありがとー。
ひ:じゃあ、移動する?
こ:うん、あっち行こ。

壁一面のホワイトボード @ 天乃家リビング

こ:あ、お母さんの書いたのが残ってる。上と入れ替えるね。(ポチッ ウィーン)
す:いつも思うんだけど、スゴいよね、コレ。
ひ:母の特注品らしい。床から天井までのホワイトボードは普通売ってない。
こ:それより、ホワイトボードのある家が珍しいんじゃないかな。
す:うん、たしかに他の家では小さいのも見たことない。
ひ:その話は置いといて、プログラムに戻る。
す:あ、うん。お願い。
ひ:(ボードに書きながら)一番簡単に言うと「プログラム」というのは…
こ:「コンピュータが分かるように書いた仕事のしかた」なんだって。
ひ:…こかげ。
こ:なあに?
ひ:そこは私が言おうと思ってたところ。
こ:あら、ごめんなさい。
ひ:まあ、いい。すすむ、ここに黒いペンで四角を書いて。
す:(ボードに近寄って)こう?
ひ:そう。それで、いま私はすすむに日本語でお願いをした。
こ:でもコンピュータには日本語でお願いしても分からないの。
ひ:…こかげ。
こ:なあに?
ひ:それも私が言おうと思ってた。
こ:あら、ごめんなさい。
ひ:まあ、いい。それでコンピュータにはコンピュータの言葉がある。
す:へぇ、コンピュータ語ってあるんだ。
こ:お父さんは「マシン語」って言ってたわ。
す:その言葉でお願いすると仕事してくれるの?
ひ:すすむ、鋭い。その通り。
こ:だから、その言葉で書いたお願いが「プログラム」なの。
ひ:…こかげ。
こ:なあに?
ひ:一番おいしい所を持ってった。
こ:あら、ごめんなさい。
ひ:まあ、いい。それでさっきのお願いは「四角を書いて」だった。
こ:すー君も簡単だったでしょ?
す:うん、すごく。
こ:普通のプログラムはもっと難しいんだって。たとえばね…
ひ:こかげ。
こ:なあに?
ひ:そこは私が言う。
こ:あら、そう。分かったわ。
ひ:ゲームだったら「コントローラのボタンが押されてるか見て、キャラを動かして、もし敵をやっつけたら経験値を増やして…」みたいになる。
す:そうなんだ。兄ちゃんが作ってたのはそれだったんだね。
ひ:すすむ、だいたい分かった?
す:うん。かげちゃん、ひなちゃん、ありがとう。
こ:それじゃあ、お母さんのクッキーがまだあるから、おやつにしましょう。
す:わぁ、クッキーかぁ。うれしいな。
ひ:こかげ、忘れないうちに涼姉ぇの分を取っておかないと。
こ:あ、そうね。また怒られちゃう。
す:え、涼お姉ちゃんって怒るの?
こ:うん。前に、おやつ全部食べちゃったら、一日中話してもらえなかったの。
ひ:あの時は怖かった。食べ物の恨みは恐ろしい。
す:そうなんだ。うちは兄ちゃんとケンカしないように、一人一個のおやつなんだ。
ひ:さすがおばさん。よく考えてる。
こ:さあ、お姉ちゃんの分は取ったから、いただきましょう。
す:いただきまーす。

(以下、学校の話などに移る)

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